立命館大学広島県校友大会 PART1設立55周年記念校友大会記念講演会(概容)

講師 陰山 英男  立命館大学教授  立命館小学校副校長
演題 「学力は1年で伸びる」
日時 平成19年9月1日(土)午後1時30分~午後3時10分迄
場所 広島県民文化センター

 講演は立命館大学校友のみならず、多くの立命館ファンの方々、陰山先生のお話を是非とも聞きたい教育者、若いお母さま方と熱気に満ちた講演会が開催された。そのお話の内容をまとめてみました。
 先生は尾道市の土堂小学校において、次の3点を重視して3年間にわたり教育実践をなされてきました。
 
   ① 1年間で学力は上がる。
   ② 人間の能力は環境によって短時間に随分と変わる。
   ③ 基礎学習の徹底された反復教育こそ重要である。

 今までの教育界は得てして、簡単に学力の向上はできないとして、できない理由探しを長々と議論をしてきたようにも感じられます。必ずしも本当の教育についての本質をついた議論には至っていなかったのではないでしょうか。国は今後、先生も委員になられている中央教育審議会において、「ゆとり教育」から転換し授業時間を週に一割増加させる方向に動いております。土曜日授業や夏休みの間の授業も自主的運営のなかで可能となるようにしようとしております。また、小学校5、6年生から英語の授業が入ります。さらには、今後の教育用のパソコン等IT技術の発達により、その活用が急速に普及していくでしょう。

 教育の問題は、表面的な民主的手法のみでは解決できないものです。教育には教育の考え方が必要です。小学生の学力は平成15年から急激に低下してきています。その頃から時を同じくして小学校の校内暴力、いじめ、不登校の大幅な増加が見られます。国の教育再生会議において、中学校での世界史の履修の義務化が必要であると議論されております。例えば、中学校の世界史の教科書のフランスの例で見れば、フランスの代表的な人物にカトリーヌ・ドヌーブがあげられております。皆が興味を引きそうなことに教科書が迎合しております。一例ではありますが、これでは国際的な学力が抜け落ちてしまいます。その原因は、最も基本的なことが議論されていないことが問題なのです。

 テレビを見る時間と家庭学習時間の調査報告によると、テレビについては一日2.7時間と、世界で最もよく見る小学生となっております。また、家庭学習については、世界で最も少ないのが日本の現状であります。我が国は、国民総生産に占める教育費の割合が世界で最も低く、その割合は3.5%となっています。しかも教育費の大半が教職員の給与なのです。この現状を皆さんどう考えられますか。

 上記のような問題点の是正なくしては、教育の再生はないと思うのです。本質的な議論をしないまま、批判病が正常な感覚を狂わしていると言えるのではないでしょうか。先生の赴任なされた山口県の山陽小野田市の小学校の子供達の学力が急に伸びだしました。全ての子供達が伸びたのです。これは、早寝早起きなど昔ながらの生活習慣がより多く残ったことが大きく影響をしているのです。

 昭和50年代から睡眠不足、栄養不足、家庭のなかの一家団欒不足が始りました。生活スタイルが夜型へと変化し、生活習慣の崩れが始まったのです。京都大学の西方先生の本「分数が出来ない大学生」が出版された1996年6月頃から、学力低下問題がクローズアップされだしました。

 皆さん、お忘れではないですね。昔からの教育の格言は当たっているのです。子どものころ、よく言われましたね。「かわいい子には旅をさせろ」、「寝る子は育つ」、人生の最大の喜びは「よく食べ、よく遊ぶこと」とね。 これらは、元気が一番であることを言っているのですよ。昔の人は、厳しい労働に加え、利便性が今程発達しているわけではなかったので、時間的には「ゆとり」はなかったはずです。それでも、「ゆとり」があると感じていたのは、元気だったからにほかなりません。食事は美味しく、バランスよくすることが、肝心です。朝御飯は、しっかり食べましょう。「早寝早起き」が最も重要。成功の共通点は元気。皆さん、お分かりですね。脳の働きから子供の学習を考えれば、1日2時間集中して行うのが最適です。能率的に脳を高速に回転させること。これは、できることを高速でやること、体全体を使ってリズムよく反復学習をすることを意味します。早く書けることも重要です。早くなると脳が喜ぶのです。その子に合ったテンポを見つければいいですからね。無理はなさらないでも。好きになると脳の動きが活発になります。判断が早くなった脳は、達成感があります。

 そして、ほめる。子供には「ほめてもらいたい時」があるのです。どんな子供でもね。わかり切ったことを繰り返すことで、確実に能力が上がってくる。これが自信につながってくるのです。学力を高めるには、とことん言葉を教え込むこと。とことん読み聞かせること。特に、漢字はある一定期間に詰め込むのが一番効果的です。計算は、とにかく訓練すること。そしてその子が完全にやれるようになってから次に進む。ここがポイントです。ひとつひとつの自信の積み上げです。算数は21のパターンの組み合わせだけなので、系統的に学習をする注意が必要です。大きな事実をつくるには、小さな事実の積み重ねしかありません。
 
 最後に、陰山先生は、校友会の力を借りながら、これからも立命館大学の新しい発想をもって日本の教育界を引っ張って行きたいと、明るく、元気いっぱいに締めくくられ、講演が終わりました。有り難うございました。(満場の拍手)

文責 昭和49年経営学部卒
石 橋  三 千 男

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